星 の て が み

千年に一度ということ(続) ー東日本大震災に思うー

蔵元 英一

 
前回、東日本大震災について思うところを書かせていただきましたが、
今回もさらにそこから発想を伸ばしてみたいと思います。
もちろんそれに先立ち、この震災で亡くなられた多くの方々のご冥福を
改めてお祈りさせていただきます。
さらに又、原発事故の一日も早い収束を願うものであります。

地球の表面は15枚ほどのプレートの集まりで構成されており、
常にお互いに対して移動しており、その境界付近で大きな地震が起きていることは
今日ではインターネットで容易に調べることが出来ます。

このとき思うことは、日本はなんと4枚のプレートが交わっている場所に
位置しているということです。
(北米、太平洋、フィリッピン、ユーラシアの各プレート)。
世界でもこのような状況にある国は、そんなにはありません。
しかし、その代わり火山が多く、その結果として温泉に恵まれていることに対して
不平は言えないのですが(地球のプレートが卵の殻のように、
一続きの殻で出来ていれば何事もないのですが、
現実はそうではありません。) 
今回の北米プレートの移動で、北日本は4ないし5メートル東に移動したと言われていますが、
プレートの東端の跳ね返った海底の部分では、なんと55メートルも東に移動したと言われています。
東北大の地層調査によれば、仙台平野では平安時代にも今回と同程度の大津波が来ていることが
明らかになっています。(貞観地震)

すなわち、1000年に一度、プレートは50メートルほど東に移動しているということになります。
これが長い地球の歴史の中で、繰り返されていると考えるべきです。
もし一億年に直してみると50メートルの10万倍、すなわち約5.000キロメートル動くことになります。
ここで世界の大陸は決して固定されたものではなく移動している、
いわゆる大陸移動説というものがあったことに気づきます。

現在、我々が持っている世界地図は現在のものであって、一億年前、あるいは一億年後はまったく違う姿であるのです。
一億年後には、オーストラリアはインドに接合し、ハワイは日本の近くにある(そうあってほしい!)でしょう。
考えてみれば、今我々が利用している石灰岩(秋吉台、平尾台その他で見かける)は、
もともと遠く離れた海底の珊瑚、貝その他の生物の死骸が長い時間かけてやってきたものです。
すなわち地球表面層の移動にすでにお世話になっているのです

こう考えてくると、今回の大震災が何か突発的に起きた不運な自然現象に出会ったように思うのは
正しくなく、長い地球の歴史の中の一コマに遭遇したと考えるのが正しいことがわかります。

千里の道も一歩から、と言いますが、まさに大陸移動もプレート間のずれ(今回で言えば1000年で50メートル)
からということになります。結局我々は地球の一歩に出会ったわけです。
ただ、その一歩が巨大地震、大津波と何とも表現を絶する大震災だったこと、島国日本ゆえの宿命ともいうべき
特殊事情であったわけです。しかし、嘆いても何も新しいものは出てきません。
大事なことは我々日本人が長期的視点を持っていなかったことを反省し、これから先に生かしていくべきことです。
その意味で今回の大震災は、色々の点で日本人の人生観に変化をもたらすことを期待しております。
  
 

プロフィール

平成17年3月九州大学退職 
現在九州大学キャリア支援センター勤務(非常勤)