星 の て が み

盲 導 犬 と と も に 40 年

藤井 健児

 
「みめぐみ ゆたけき 主の手にひかれて、この世の旅路をあゆむぞ うれしき。」
(教団 賛美歌294番)これは、わたしの愛唱賛美歌の一つです。
小学校入学直前に、暴走自転車のひき逃げで、
片目の視力を眼球破裂で一瞬にし、失っていた私は、
二十歳の時には、完全に真っ暗闇の世界に突き落とされ、
盲学校の教師を目指していた夢も希望も奪われました。 

しかし、その絶望の暗闇の中で、出逢ったイエス・キリストを
「我が救い主、我が命の光」と信じて、新たな歩みを初めて、もう60年。

紆余曲折はありましたが、教師への道から牧師への道と、
文字通りイエス・キリストに導かれつつ歩き続けてきた私の人生にピッタリの歌です。

そして日々の生活の中で、私の目の代わりとして行動の自由を与えてくれたのが、
愛するパートナー達!40年間、共に歩いてくれた4頭の盲導犬であります。

最初の相棒は、「ロック」号。
ラブラドールレトリーバー種の雄で名前にふさわしく「岩」のようにたくましく風格さえ感じましたが、
ちょつと手強いぞ…と思いました。実は、ロックが九州で第一号の盲導犬でして、東京から帰ってくると
大歓迎を受け、大きな喜びと強い責任を感じました。
事に、西鉄の大きなご配慮で、迎えのバスを福岡空港前に用意して頂き帰ったその日から一緒に乗ることが出来ました。
言い表せないほどの喜びと、感激で、決して忘れることは出来ません。

今は、4頭目の「フローリー」と暮らしていますが、2頭からは、みんな「お嬢さん」で、
それぞれ色合いや性格など違いますが、持ち味を十分に発揮しています。
今まで、街を歩いて柱に頭をぶつけてコブが出来たことや、段を踏み外して怪我をしたことが、
まず、無かったことからも、その信頼度が証明できます。

私たち人間は、いろいろ立場や境遇、或いは、国や宗教が違うために信じたり、
理解することが出来ないといって争ったり、殺し合ったりします。悲しいことです。

しかし、私は長く盲導犬と過ごして言えることは、人と犬でさえも、互いに信頼し合い、しっかり向き合っていれば、
心の絆で固く結ばれ、実に素晴らしい協同作業を創り上げれる事を実感しております。
まして、人間同士で、それが出来ない事は無いはずです。
境遇や立場、又、民族や国の違いも取り払い、争いも戦争も無い、
平和で幸せな世界が実現すると確信しております。

香住ヶ丘教会名誉牧師 藤井健児


  
※背景画像:藤井先生とフローリー 2011年6月撮影
 

プロフィール

1967年、神奈川県生。
90年、朝日新聞社入社。
京都、福岡などで記者生活をおくる。
現在は、大阪本社編集センター地域面編集で、

地域面の見出しやレイアウトを担当。