星 の て が み

「人々の善意や向上心が地球と次世代社会を破壊する」

    岡本 久人

 
世界は現在68億人の人口が、2050年には90億人を超える。
新興国・発展途上国の経済成長で、全人類の資源・エネルギー消費量は
爆発的に増加し続ける。一定の地球表面積と、
そこに降り注ぐ一定の太陽エネルギーの枠内で、ヒトを含む全ての生物が共存してきた。
しかしこの100年間に起きるヒト科動物だけの大繁栄は、
地球環境も次世代社会も壊してしまうだろう。
私達の世代でヒトは自然淘汰を止めた。
生産技術・医学など科学技術を急速に進化させ、
地球環境と社会システム(内部環境)を改造しながら今日の大繁栄をもたらしている。

世界は現在68億人の人口が、2050年には90億人を超える。
新興国・発展途上国の経済成長で、全人類の資源・エネルギー消費量は爆発的に増加し続ける。
地球環境や資源的な限界が見えてきても、この大繁栄の奔流を誰も止めることはできない。
では、この大繁栄奔流のエネルギーは何か? それはズバリ、私達の大脳である。
ヒト以外の動物の行動は欲求原理で励起される。そして欲求が充たされれば行動は止まる。
つまり必要以上のエサは取らない。だがヒトの行動は欲望原理で励起される。
欲望は充たされると更に新たな欲望レベルが設定され行動する。
ヒトの大脳が生み出すエンドレスな欲望原理から、ヒトは大繁栄の奔流を止めることはできない。
大脳つまり「心」の問題である。「世界の全ての人々が豊かな生活を」という私達の善意も、人々の生活をより安全安心にする科学技術の向上心も、
地球的に見れば大きな矛盾がある。
私達の倫理観や正義感を、基本に立ち帰って見直す時期がきているのかもしれない。

日本は、逆に現在1億2千5百万の人口が2050年には9千万人まで減少する。
そのうえ少子高齢化が急速に進み、労働人口は約50%で二人に一人しか働いていない。
社会は成立しない。今すぐに行動すべきことがある。
前回述べた「ストック型社会への転換」、つまり現在の金融資産を何世代も使える
「長寿命型の実物資産」に置き換えるという政策も、今の日本人の「心」の問題で遅々として普及しない。
次世代の日本を担う子供達には申し訳ないが、もう間に合わないかもしれない。

  
 

プロフィール

[現職]
次世代システム研究所 所長
九州国際大学客員教授
研究・技術計画学会理事
次世代システム研究会副会長
ECO-ECO研究会顧問
自然環境定量評価研究会副会長
環境省環境カウンセラー
NPO法人 バードライフ・アジア理事ほか

[略歴]

北九州大学外国語学部、新日鉄、八幡製鐵所生産技術、IE、OR、経営管理、技術開発、省エネ社外経営コンサル、海外技術協力、システム開発、人間工学関係、ほか
新日鐵 ローマ事務所 技術系駐在員
(1984~1992)三井ハイテック(出向)
海外管理部長、北京事務所長株)
九州テクノリサーチ地球環境プロジェクト部長
(財)日本野鳥の会 評議員(1990~2003)
(学)九州国際大学 次世代システム研究所所長
内閣官房 環境モデル都市低炭素社会づくり委員会委員(平成21年11月まで)
文部科学省 産学官連携コーディネーター(平成22年3月まで)

[著書]
「野鳥調査マニュアル」/定量調査の考え方と進め方 1990 東洋館出版
「生態系が語る日本再生」/ECO-ECO Economy as Ecology 1997.12 日本経営協会
「従生態經濟學看日本的再生」(中国語) 1997.4 中國經濟技術出版社
「大画面VDT導入ガイドブック」(共著/主筆) 1997.4 日立情映テック
 写真集「隼」「Fling Birds」ほか多数
 エコエコ宣言 初版~第3版(監修) 森の記憶(監修)
「ストック型社会 ~あなたの未来を豊かにする日本の変え方~」 2005.3 電気書院
「ストック型社会への転換 ~長寿命化時代のインフラづくり~」 2006.1 鹿島出版会
 45分で分かる未来へのシナリオ「ストック型社会」2007.5  電気書院 
 ゆとりある国・日本のつくり方 ?ストック型社会転換マニュアル-」 2006.12 電気書院

[論文・報告書]
「ストック型社会論/The Theory of Stock-type Society」Journal of Life Cycle          Assessment, Japan  
   Vol.6 No.2 April 2010環境都市5つのアプローチ
「ストック型社会めざす北九州市」JST産学官連携ジャーナル Vol.No.3 march 2010
 エッセイ ”Do in Rome more than the Romans do!”
 *ECO-ECO的思想をテーマにした日本語のエッセイ他 著作・論文多数
  岡本久人エッセイ集