星 の て が み

音 の 手 紙

佐藤 千鶴子

 
音の手紙・・・、それは時空を超えて送られた音符やら言葉やら記号でできた楽譜。
宇宙からのインスピレーションを受け取って楽譜になったものを、
演奏者を通して聴衆に届ける、音楽は宇宙からのメッセージだと思う。
演奏者はその楽譜を解読し、作曲者の意図を推し量り、知識と感性と想像力を使い、
何と書いてあるのか、また、細かい所や全体のバランスを考え、
どんな音で弾いたらいいか選んでゆく。
翻訳し、表現していく作業だと思います。
その作業は、共同作業のときもあれば、全く孤独な日々の地味な作業だったりします。

表現する為の技術(メカニックでなくテクニック)を学び、
磨く、その職人的な作業の中に「心」が入ったとき、音楽になるんだと思います。
私の師匠であるチェリスト青木十良先生(現在94歳)はこう仰いました。
「音楽は人の心の中に入って行って、心の中で作業する仕事ですよ。」
そう仰る先生のチェロの音は、聴く者の心にスーっと入ってきて、
時には熱くなったり、時には涙があふれてきたり、
聴き終わった時には周りの人とハグしたい心境になります。
言葉にならない何か・・波動のようなものが心の深いところに共鳴しているのです。
人間の思考を司るのは脳と言われていますが、最近の研究では脳よりも心臓から発せられるエネルギーの方が
遥かに大きいことが分かったそうです。(ピエール・フランク著「宇宙に上手にお願いする「共鳴の法則」」より)
人は理性で心を支配しようとするけれど、本当は心でしか理性をコントロールできないのではないか?
前述の青木十良先生はこんなことも言っておられました。
「知性が集まって集まって、その人の感性になる」と。
驚くべき大きなスケールの、知性の塊のような青木先生は、同時にとても人間的で温かい。
情熱にあふれていながら冷静な目を持っている、正確でいて自由な演奏。
優れた人は両極が同時に存在している。
自分は・・・、自分の未熟さを思うと気が遠くなる。
しかし、気が遠くなるのもまた私。音楽はたやすいものじゃない。
宇宙は広いのだ。『聴衆と演奏者の心の交流は生でこそ伝えられる。 
宇宙からの「音の手紙」を多くの人に聴いてもらいたい。』

視聴覚まるごと研究所 別巻
http://members.jcom.home.ne.jp/katsuhiko-m/bekkan.html

  
 

プロフィール

東京コンセルヴァトアール尚美卒業。
市川市文化会館新人オーディション合格。
1992年~98年まで、
横浜バロック室内合奏団にて研鑽を積む。
95年より「影絵劇団かしの樹」のチェリストとして、
全国の小学校公演に参加。
また、 98年より、地元市川市を中心に
「室内楽の愉しみ」を主催。
「セロ弾きのゴーシュ」、「ないた赤おに」など、
こどものための公演も手がける。
リードオルガンとの共演でCD録音に参加。
チェロを吉田啓義、齋藤鶴吉、河野文昭、黒川正三、
青木十良の各氏に師事。
室内楽を小笠原伸子、青木十良の各氏に師事。
現在、ソロ、室内楽、オーケストラ等で活動中。