星 の て が み

楽園に生かされて

 

松尾 靖子

もうすぐ2010年ですね。皆様にとって、今年はどんな一年だったでしょうか。
私事ですが、自然農に出会って丸20年が過ぎようとしています。
自然農は「田畑を耕さず、草や虫たちを敵とせず、肥料、農薬を用いない」。
この3つを基本とし、自然の営みと生命の巡りに添い、持ち込まず、持ち出さない。
草は抜かずに刈って、そこに敷き、生まれた場所で、次の生命の糧となり、生命を全うするのです。

その土地の気候風土、土質を生かして作物を育む。
管理する農業ではなく、草々などの自然の恵みをいただきながら、
私が自然の営みに添い、他をどれだけ生かすことができるかが問われているのです。
そして生かしたもので、私たちが生かされるのです。
草々や虫たちの亡骸の層が重なる大地は、清らかな山の香りがします。    
もう20年も耕していないのに、この柔らかさ、まるでトランポリンのように弾力があります。
山を思い浮かべるとよく分かります。
野山の土がフカフカで足下が豊かなのは、木々が自分の枝葉を落とし、小動物の亡骸が層になり、
土中ではたくさんの微生物がバランスよく、その時の必要に応じて誕生するのです。
この世に無駄なものはなく、草も虫も皆、必要があって生まれています。
その田畑に必要なものは、そこに備わっているのです。
耕すことによって、生命の舞台が壊れ、農薬や肥料がいるのです。
草々は宝で、虫は本来、野菜より草のほうが好きなのです。
野菜たちの成長をさまたげる程、成長した草は刈って、その場所に敷きますが、
少し虫たちのすみかを残してあげる事は大切です。いろいろな草が生える田畑は、
それだけ育む事ができる豊かな土地なのです。草々や小動物などたくさんの生命が栄えてこそ、
そこの土は豊かでそこで育つ野菜たちは、健やかにのびのびと育つのです。

人間も野菜と同じように食べたものの通りに育つので、できるだけ体に善いものを、
ご縁のある方々に届けたいのです。体にいいものを食べることは、
農家を育み、地球環境を守り育て、私たちの健康と幸せを守り、全ては、命一つでつながっているのです。
たとえ狭い土地でも、鎌と鍬とスコップがあれば、その人にあったペースで、できます。
「田畑はキャンパス。私にとっても、虫たちにとっても楽園です。」
自然農は生き方そのものです。人と自然が調和しながら生きるという、これからの生き方を示していると私は思うのです。 
そこに人が本当に安心して、永く、健やかに暮らしていけると思うからです。
田畑の自然がつくりだす妙なる美しさ、子供のころにみた原風景のような懐かしさにほっとするものがあります。
皆様も、ぜひ、ぜひ、自然農に親しみ、自然農の世界を楽しまれて下さい。
きっと心が癒され、イキイキとした本来の自分自身に戻れますよ。
新しい年が、皆様にとって健やかで幸せな善き年でありますように。

松尾さんのお野菜をお求めの方は下記へご連絡下さい。
〒819-1627糸島市二丈松国717松尾ほのぼの農園 Tel・Fax;092-325-1506 

福岡自然農塾 http://www.asahi-net.or.jp/~ir2e-kgmy/

  
 

プロフィール

1954年 福岡県生まれ。 
6年間の有機農業を経て、 
自然と共に生きる「自然農」を実践する。 
個人や、レストラン、保育園などに宅配をしながら、 
畑の一部を、自然農を目指す人が利用できる 
「松国自然農塾」として開放。
自然農を実践する仲間と共に
「福岡自然農塾見学会」を開催し、
年6回の学習を通して”農と生き方” を 
学ぶ場を一般の人々に提供している。