星 の て が み

「変わる」ってなんだろう?
武藤 康史

 
「CHANGE」 ・・・・・  
昨年から、最も世界を飛び交った言葉ではないだろうか。
「変わり続けていよう」と思ってきたし、現実に身の置き所も変わった。
7年前に仲間と航空会社を創業し、3年前に初飛行。 
昨年はようやく営業黒字になった。 今から思えば無謀だったが、
「これまでの航空会社と違うこと」を唯一最大の眼目にして会社を運営してきた。 
業界常識を「変えたい」との一念からのことだったと思う。
飛行機を真っ黒に塗り、収益の源である座席数を減らし、 ベンチャー会社なのに、
スタイリッシュな航空会社というブランド価値を創ろうとした。 
世間からはその意図を受け入れていただき、
分不相応な高いブランドからは一緒にPRをやろうという話を
お客様からは「おしゃれなエアライン」との評判を幸運にもいただいた。

一方、身近な会社内の現実は、住む世界が違うくらいに冷ややかだった。
「お客様を選り好みするのか」「かっこよさだけを追求するよりも安全とサービスだ」
「広告がお洒落と言ったって航空会社として認知されないんじゃないか」 
今までの航空会社、業界の価値観を一歩も出ない論評がとても多かった。 
なにかを「変える」ということはできても、それを「あたらしい価値」として自分自身が昇華し、
受け手であるひとびとのものさしを動かすまでに力強く変化させないと、
「変わる」ということは達成されないんだなと、実感した。 

それでもわかってくれるお客様がたくさんいることを励みに 
動かすための推力を失わずにやってくることができたとも思う。 
先ごろ、創業者としての立場を終えて役員を退任し、 
あらたな「違うこと」を求めて、ふたたび事業を起こそうと 
考えるときを過ごしている。「変わる」そして「変える」。 
前に進んでいるかぎり、このことに対する共感と期待はついてくる。 
ちょっとしんどい峰は続くが、途中経過を楽しみながら、
「半歩前」をめざして進んでいきたいと思っている。
  
 

プロフィール

1953年 東京生まれ。 
大手航空会社に四半世紀勤めた後、
2002年に航空会社を創業。  
2006年、北九州から初飛行。
 昔から「ちょっと変わったやつ」 
と言われることに妙な喜びを持つ。 
そして「ちょっと変わった会社」を作り、 
現在は役員を退任して顧問の傍ら 
「業界の未開拓地」のどこかを掘り起こそうと画策中。  

「メガネの収集」と「辛いもの」が最大の趣味。