星 の て が み

フリーランス2年生

濱村 哲郎
 

私は、四半世紀の会社勤めを辞め、現在フリーランス2年生の身である。
なぜ、この歳になってフリーランスなのか…と心配してくださる方もいるが、
人生の半分を駆け足で進んできたような自分にとって、これは必然の選択であり、
まわりの状況もその決断を後押してくれたように思う。

深夜零時を過ぎて帰宅する毎日、それなりに刺激的な日常であり、
その時間の中で出会う人たちも魅力的な人が多い充実した日々だった。
「今日も充実した一日だった」とアルコールにより朦朧となった頭の中で、
就寝前の祈りのように唱えることが、いい一日を締めくくる儀式になっていた。

まだ、鼻腔の奥にアルコールの熱気を残した目覚めが必ず毎朝やって来て、
通勤電車の窓から差し込む朝日の眩しさに目を細めながら通った会社の将来には、
自分の姿を見ることができなくなってしまっていた。

後押ししてくれたのは、そんな状況だった。繰り返し同じように過ぎていく24時間も以前とは違い、
自分がやっていることは、いったい何なのだろう、誰を幸せにすることができるのだろうと、自分のモティベーションを保つ要素を実感できない日々が続いていたのだ。

今は、自分の気持ちと正直に向き合い、自分のやりたいことを自分自身に問いかけながら活動している。
それにより仕事として収入を得ることもあれば、そうでないことも多々ある。
しかし、それはどれも今の自分には必要なことであり、やって良かったと思えるものばかりである。

2年前のあの日、あそこで決断してなかったら今目の前にあるものが、まったく違っていただろうと思う。
人の気持ちのあたたかさやここに生きられる喜び、変わる季節から届くさまざまなメッセージ、
平凡な食卓のありがたさや笑顔から放射されるまばゆいエネルギー…。
それまでの傲慢な自分には、そのどれもがきっと感じることのできなかったものばかりだ。

この2年間を過ごし、やっと自分のやるべきことを見出せた。そしてそれが間もなく形になる。
新しい紙媒体、福岡市エリア限定の飲食事業業界紙を発行する。
全国的にみても福岡市の飲食店のレベルは高いと言われる。
しかしその反面突出したものがなく、漠然とした印象を持たれているのも事実。
そのレベルが上がっていけば、全国いや世界的にも有数のもてなし上手な街になれる。
そんな夢を託して、飲食店の経営者と向き合い、お客さんの本当に望んでいることを共有し、サービスの質の向上、
ひいては飲食店のレベルを上げていくことの一助になる情報を発信するメディア。
それはまさにお客さんと飲食店双方のホンネがぶつかり合って生まれる感動的なドラマを伝えることになる。
少々、宣伝臭くなってしまったが、ステレオタイプで表面的な情報を伝えるグルメ雑誌にもの足りなさを感じている方にも興味を持ってもらえると思う、購読希望の方には、フリーペーパーなので送料のみでお届けする(秋には創刊予定)。

写真:パリのサクレ・クール寺院への階段にて  (濱村氏よりご提供いただきました。)

  
 

プロフィール

1955年生まれ。 
地元タウン誌の出版に携わった後、
オリジナル焼酎の開発、販売や自然派ワインの
輸入ビジネスを経て、 現在福岡都市圏エリアを
対象にした飲食業界メディアを準備中。 
仕事がら飲み食べ歩くことの多い生活で
常に不健康な体になるリスクをなんとか日々の
エクササイズで抑え込もうとしている。 
昨年のホノルルマラソンで初マラソンデビューを果たす。